2026年10月20日測って終わりにしない―奈良漬の声を聞くということ

奈良屋本店では、製造中の奈良漬の状態を日々測定しています。
これまでの記録や漬け込みの経過と照らし合わせ、実際に味も確かめながら、次の作業を判断します。
先日、瓜の漬け替えを始めようとしていたとき、測定結果に、これまでの経験とは異なる動きを感じました。
私は、予定していた作業をいったん止めました。
記録を確認し、ほかのロットのデータと比較する。実際に食べて、状態を確かめる。そのうえで、次の作業に適した状態に整えてから進めることにしました。
時間も費用もかかります。それでも、必要な判断でした。
その際、従業員に伝えました。
「記録係にならないでくれ。ロボットにならないでくれ。そのデータの示す意味を考えてくれ。」
この言葉には、熟練した作業員だからこそ、積み重ねてきた経験を日々の判断に生かしてほしい、という思いがあります。
いつもと何が違うのか。
その数字は、どんな状態を示しているのか。
目の前の奈良漬に、今、何をするべきなのか。
測定結果と経験、そして実際の味を照らし合わせて考える。
私が伝えたかったのは、「奈良漬の声を聞いてほしい」ということです。
日々の測定を、考えることへ。考えたことを、次の仕事へ。
これも、奈良屋本店の日常です。


