2026年10月10日木簡が伝える、奈良の漬物文化

先日、野菜や漬物の歴史を長年研究されてきた久保功様から、昔の新聞記事や展示の記録、お手紙など、多くの資料を郵送で送っていただきました。
久保様は、長屋王家の木簡など、古代の史料を通して野菜や漬物の文化を研究されてきた方です。著書には、淡交社から1996年に刊行された『野菜は世界の文化遺産―人がおりなす野菜の文化史』があります。
奈良屋本店とは、父の代から私まで、二代にわたって情報を共有してきました。長屋王家の木簡や、野菜が各地から伝わってきた歴史、奈良の漬物文化について、折に触れてお話を伺っています。
昭和六十三年、一九八八年に発見された長屋王家の木簡には、古代の人々の暮らしや食べ物の記録が残されています。なかには、粕漬けの瓜や茄子など、漬物についての記録もあります。
今回届いた資料には、漬物の木簡が公表されたあと、ならシルクロード博の会場から、その内容を広く伝えていった経緯が記されていました。
また、久保様のお手紙には、奈良屋本店が木簡などを「最初に発信したことになります」と書かれていました。
二代にわたる情報共有のなかで、当店が文化を伝える活動に関わっていたことを記す言葉として、今回、資料とともにご紹介します。
古代の粕漬けと、現在の奈良漬。
その製法がどこまで同じだったかは、私には分かりません。けれど、野菜を漬け、保存し、人に届ける営みが、遠い昔の奈良にもあったことを、木簡は伝えてくれます。
久保様は、野菜を「シルクロードからの贈り物」と表現されています。
日々扱っている野菜にも、それぞれの原産地があり、各地へ伝わってきた歴史があります。その間には、育てる人、運ぶ人、保存や食べ方を工夫する人の仕事がありました。
樽の中に漬け込む野菜を、そうした歴史から眺めると、いつもの仕事にも、少し違った景色が見えてきます。
私たちが作る奈良漬も、長く続いてきた食文化のなかにある。
今回の資料を読みながら、あらためて、そう感じました。
私は歴史の専門家ではありません。漬物を作る者として、共有していただいた記録に学びながら、日々の仕事の背景にある文化にも目を向けていきたいと思っています。
久保様からは、近いうちに京都で、ぜひお会いしましょうとのお言葉もいただいています。今回の資料について、さらにお話を伺えることを楽しみにしています。
奈良屋本店
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