2026年10月03日【奈良屋本店、100年を目指して】

奈良屋本店には、古い書類が残っています。
以前から存在には気づいていましたが、古くて読みにくい書類だと思い、そのまましまっていました。
先日ふと思い出し、改めて広げてみると、祖母・増田コウの名前、当時の住所、営業に関する記録、そして手書きの営業設備の図面が残っていました。
私は亡き父や祖母から、奈良屋本店は昭和23年(1948年)創業と聞いて育ちました。また、それ以前から奈良漬を作っていたとも聞いています。
ただ、これは家族から聞き継いできた話であり、今回の資料がそれをすべて証明するものではありません。
家族から伝え聞いたことと、現存する資料で確認できること。
それを分けながら、奈良屋本店の歩みをありのまま残したいと思います。
これまで私は祖父・増田源治郎を初代と考え、対外的にも自分を「三代目」としてきました。
しかし今回、古い資料を改めて確認すると、祖母・増田コウの名前が営業者として残されていました。
祖母を起点にたどれば、
増田コウ → 増田源治郎 → 増田俊彦 → 増田幸彦
となり、私は四代目ということになります。
そして古い資料を眺めているうちに、以前、祖父・源治郎から聞いた話も思い出しました。
祖母・コウが始めた頃は、近所の方に奈良漬を「おいしい」と言っていただけることが嬉しくて、奈良漬を販売していたそうです。
その後、祖父・源治郎は奈良市内のお土産物店へ出荷するようになり、父・俊彦は百貨店やスーパーへと販路を広げていきました。
では、私は何をしてきたのか。
振り返ってみると、奈良漬を「売ること」以上に、「より良い奈良漬を作ること」に力を注いできたように思います。
採算を考えれば、そこまでしなくてもよかったこともあったかもしれません。
それでもJAS認証を受け、奈良県産原料による地産地消を進め、奈良県SDGsアドバンス認証を受け、大学との共同研究にも取り組んできました。
そして、その共同研究は、奈良漬から乳酸菌が見いだされる研究の第一歩にもなりました。
四代それぞれ、奈良屋本店との向き合い方は少しずつ違っていたように思います。
何代続いたかを自慢したいわけではありません。
奈良には、奈良屋本店よりもずっと長い歴史を持つ奈良漬メーカーさんもあります。
私が残しておきたいのは、歴史の長さではありません。
先祖から受け継いできた奈良屋本店の歩みを、確認できる事実とともに次の世代へ残しておきたいと思っています。
そして、奈良屋本店について調べてくださる方にも、
現存する資料などの一次情報をもとに、
確認できる事実をできるだけ正確にお伝えしておきたいと思います。
私は現在65歳です。
昭和23年(1948年)を創業年とすれば、創業100年まであと22年。
頑張れば、その日を自分の目で見ることができるかもしれません。
「100年企業」という言葉があります。
奈良屋本店も、そこを目指したい。
先祖から受け継いだものを、事実を大切にしながら次の世代へつないでいく。
古い二枚の書類を改めて眺めながら、そんなことを考えました。


