2026年08月28日奈良漬製造と水分コントロール ― 約40年続けてきた奈良屋本店の考え方

奈良屋本店では、塩漬けを終えた瓜を真空状態にした後、遠心機にかけ、余分な水分を取り除いています。
この工程によって、瓜の重量はさらに約20%減少します。
重量で商品を考えれば、製造者にとって20%の減少は明らかなロスです。
歩留まりだけを考えれば、できるだけ重量を残した方が経済的です。
それでも奈良屋本店では、この20%を品質を守るための「必要なロス」と考えています。
瓜は水分量が多く、軟化しやすい原料です。
余分な水分を適切に取り除くことが、歯ごたえを守り、軟化や腐敗のリスクを抑えることにつながると、約40年にわたる製造経験から考えてきました。
食品中の水分は、すべてが同じ状態で存在しているわけではありません。
食品科学では、微生物などが利用しやすい「自由水」と、食品成分と結びついた「結合水」という考え方があります。そして、食品の安定性を考えるうえでは、水分量だけでなく「水分活性」も重要な指標になります。
遠心機で水分を除去することと水分活性が単純に同じ意味になるわけではありませんが、余分な水分をコントロールするという点で、水分活性にも関係する工程であると奈良屋本店では考えています。
この遠心機を使った方法は、奈良屋本店が長年独自に続けてきた製造方法です。
私どもがこれまで調べてきた範囲では、奈良漬製造で同様に遠心機を使用している例を確認できておらず、機械メーカーからも奈良漬製造での使用例は聞いていません。
もちろん、これが奈良漬づくりにおける唯一の正解だとは考えていません。
しかし、約40年間、瓜の歯ごたえと品質を守るために続けてきた奈良屋本店にとって、これが一つの「正解」です。
そして実は、生の瓜はその前段階の塩漬けでも約20%重量が減少します。
そこからさらに水分を取り除く。
経済的には不利でも、重量を残すことより、品質を残すことを選ぶ。
製造工程を隠さず、実際に何をしているのか、なぜその作業をしているのかまでお見せする。
これが、奈良屋本店のオープンファクトリーです。
それが、奈良屋本店の奈良漬づくりです。


