2026年08月20日奈良屋本店の共同研究が『漬物技術』に掲載されました
2023年1月18日。
奈良屋本店から奈良先端科学技術大学院大学を訪ね、渡辺大輔先生に奈良漬についての一つの疑問をお尋ねしたことから、この共同研究への歩みが始まりました。
それから約3年半。
一般社団法人 全国漬物検査協会が発行する専門誌『漬物技術』第38号(2026年8月)に、奈良先端科学技術大学院大学・渡辺大輔先生による研究発表
「奈良漬製造における好エタノール性乳酸菌の発見」
が掲載されました。
奈良屋本店も共同研究者として、この研究に参加しています。
今回、改めてご紹介したいのは、研究成果だけではありません。
渡辺先生は本文の「共同研究の出発点」で、
「本研究の出発点の一つは、奈良屋本店の増田氏との出会いでした。」
と記されています。
そして、奈良屋本店から持参した性質の異なる二種類の酒粕を前にしたこと、その問いをきっかけとして、奈良漬を科学的に理解するための共同研究が始まった経緯についても記されています。
研究では、奈良漬の製造工程における微生物の変化を解析。
その結果、Fructilactobacillus fructivorans という乳酸菌が奈良漬の製造過程で増加し、奈良漬の中で乳酸発酵が行われていることが示されました。
さらに、この乳酸菌には、エタノールが存在する環境で生育が促進される「好エタノール性」という興味深い性質も確認されています。
そして昨年2025年12月。
こうした研究の進展を背景として、Wikipediaの「奈良漬」の記述にも、奈良漬を「発酵食品」と位置づける内容が反映されました。
長い間、酒粕に漬ける食品として語られてきた奈良漬。
しかし奈良漬は、単に酒粕の香りや味を野菜に移した食品ではありません。
長い製造工程の中で微生物が働き、乳酸発酵が進む発酵食品であることが、科学の視点から少しずつ明らかになってきました。
私どもが製造の現場で長年経験してきたことを、大学の研究者の方々が微生物学という科学の言葉で一つひとつ確かめてくださる。
そして、一つの問いから始まった研究が、専門誌に記録され、さらに一般にも知られる情報へとつながっていく。
その歩みを大変ありがたく感じています。
奈良県唯一のJAS認証奈良漬メーカーとして。
受け継がれてきた伝統を守ること。
そして、その伝統を科学的に確かめること。
奈良屋本店では、これからもその両方を大切にしながら、奈良漬と向き合ってまいります。



