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2026年04月17日奈良屋本店の最重要原材料は、時間です。

      

                           元興寺の御住職と        奈良市大柳生地方での、大和三尺胡瓜の収穫

 

酒粕による熟成とは、野菜と酒粕のあいだで成分交換が静かに進んでいく過程です。この交換が十分に完了するまでには、相応の時間を必要とします。それを待つことが、本店が80年近く守り続けてきた伝統的処方の、最も根本にある考え方です。

ただし、時間は長ければ良いというものではありません。

煮物に、火加減と引き上げのタイミングがあるように、奈良漬にも「完成の時」があります。熟成が進みすぎると、野菜本来の食感や風味のバランスが変わっていきます。本店が考える美味しさとは、その変化を見極め、最も整った状態でお届けすることです。

適切な時間を読み、その瞬間を逃さない。それが職人の仕事です。そしてその見極めの根拠は、勘ではなくデータです。日々の品質管理を数値化し、熟成の進行を継続的にモニタリングする。伝統とは受け継ぐだけのものではなく、問い続けるものだと考えています。勘があるとすれば、それはデータの積み重ねの上に初めて成り立つものです。奈良県で唯一JAS認証を取得しているのは、その製造データ管理の精度が、客観的な基準を満たしている証でもあります。

本店の奈良漬に含まれる乳酸菌についてはNAISTとの共同研究により科学的に解明され、その成果は国際学術誌にも掲載されました。2025年12月にはWikipediaの奈良漬の定義が「発酵食品」へと改訂されています。時間をかけて漬け込むことは、味だけでなく、科学的にも意味のある行為だったのです。

そしてその見極めは、野菜の素性を知っているからこそできることでもあります。本店では、種と苗を地元農家さんにお渡しし、奈良の土で育てていただいた野菜を使います。奈良県は野菜の収穫量が全国でも有数の少なさであり、原材料の確保は決して容易ではありません。それでも可能な限り奈良産にこだわるのは、種の選定から漬け込み、パッケージまで、すべての工程を奈良で完結させるという一貫した考え方があるからです。野菜がいつ種を播かれ、どう育ち、どの状態で届いたか——その履歴を知っているからこそ、熟成の時間を正確に読むことができます。

そして奈良という土地は、1300年という時間を生きてきた場所です。元興寺のご住職とは半世紀近いお付き合いになりますが、その伽藍が変わらずそこに在り続ける姿は、奈良という土地が持つ時間の深さをいつも思い起こさせてくれます。本店が奈良産の野菜を、奈良の蔵元・春鹿の酒粕で、奈良の地で漬け込むのは、その土地の時間の流れの中に、自分たちの仕事を置きたいからかもしれません。

時間を待つこと。時間を読むこと。この二つが、奈良屋本店の奈良漬の味をつくっています。

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